これは大学2年の、夏の話だったかな。
途中出てくる会話文については、
大体こんな感じで言ったという
ニュアンス的なものだと受け取ってください。
その頃俺は、友人に誘われて心霊スポットをよく巡っていて、
あの日も迎えにきてくれた友人Aの車に乗って行った。
車にはもう一人友人Bが乗っていて、
A,Bともに怖いもの知らず…というか
幽霊が見たくて見たくてしょうがないような奴らだった。
もちろん俺も幽霊を見たいと思っていたから
誘いにのっていた訳だけども。
ちなみに場所は九州で、
向かって行った場所は、海沿いの某廃墟。
地元では割と有名な心霊スポットで、
実際に行ってみるとかなりの雰囲気はあった。
特に衝撃的だったのが…
部屋が一室まるまる焼け焦げていて、
幽霊が出るとかそういった以前に
安全面での危険性も大きかったのを覚えている。
その某廃墟を少しうろうろしたりしていたが、
しかし、そこでは何も起きなかった。
問題は、帰り道にて起きた。
ずっと直線の道路を走っていると突然、
友人B「なあ、トンネルの前の山側の方さ、なんか動いてね?」
言われてみると…
まだ少し距離はあるが、
たしかに山の側面だろうか…
何かがうごめいているのが見えた。
友人B「動物か何かか?
」
Aは運転しながら、
友人A「う~ん、でもあれなんか妙に赤くね?
」
俺「よくわからんなぁ…」
そうこう言いながらも
それが見える位置まで車が近づいていき…
それがたしかに赤い色であることがわかった。
そしてそれが人の纏う服(着物?)であり、
着ているのは長髪の女性?
だということも。
何やらうごめいて…と見えていたものは
実はすごい勢いで山の側面を駆けずり上がろうとしていて、
しかし斜面がきついせいか、なかなか上りあぐねているようで…
これはおかしくないか?
と思った。
時間は深夜3時ぐらい。
こんな時間に、
山の奥に何があるというのか…
そして、何よりあの動き。
それはもう、相当必死に見えた…。
とにかく異常な動き方をしていた。
やめればいいのにAはさらに車を近付け、停車…
俺とBは正直、かなり怖気づいていたので
「それ」を直視することができなかったが、
友人A「やべ、感づかれた。つか止めた瞬間かな、たぶんこっち見てる」
Aだけは見ていたようで…
そこでAも完全に怖気づいたのか、
即車を走らせてそれはもう急いで逃げ帰った。
運転してるときはすごい張り詰めたような顔をしていたけど、
帰った後のAの怯えようがすごかった。
聞いてみると、
友人A「え、お前らバックミラー気付かなかったか?
ずっと赤いの映ってたぞ…」
と。
俺もBも気づいてなかったのでそう告げたが、
どうやらもし憑いてきてたら…というのを気にしてるらしかった。
そこでさすがにこれはヤバイだろ!
という話になり、お祓いに行こうってなったんだけど、
お祓いの話になるとAがすごい嫌がる。
どうも、うさんくさいからって理由で、
仕方なく俺とBだけでも後日お祓いに行くことにした。
Aは結局来なかった。
しばらくは何が起きる訳でもなかったんだけど…
その1か月ぐらい後だったかな。
もう帰省先から戻っていたんだけど、
自分の親からメールがきた。
「A君、交通事故で亡くなったって」
ありがちな結末だけど、
俺はそれがあの時の霊らしきモノの仕業以外に考えられない。
お祓いに行かなかったからなのか、
あの時そばで直視したせいなのか…よくわからない。
あれから心霊スポットに行くことは無くなった。
まあありきたりの話だというのは自覚している。
ただ、本当にこういうことがあったのかと思うと
怖かったので書いてみた。
あまり詳しい場所までは言いたくないんだけど、大分県。
県内の人ならあるていど場所がわかると思う。
コメント