10年近く前、俺は出張で京都に行った。
その日は1日中スケジュールが詰まっていて、
ホテルにチェックインしたのは、夜の10時を回っていた。
いつもの出張なら、これから夜の街に繰り出すのだが、
朝早く東京を出たこともあって疲れていた俺は、弁当とビールを買って
部屋で過ごすことにした。
腹も一杯になり、ビールに心地よく酔った俺は、部屋の電気も消さないまま、
いつしか眠ってしまったらしかった。
すると夜中に右腕が痺れて目が覚めた。右腕に何かが乗っている・・・。
まるで女に腕枕をしているようだ、部屋の電気はついている。
半分寝ぼけ眼の俺は、さほど不思議にも思わず右腕を見た。
すると長い髪の女が、無表情で俺の腕を枕にしてこちらを見つめている。
「うわぁ!」我に帰った俺は思わず叫んで身を起こした。
もう女の姿は無い。気のせいか・・・。
いやしかし、右腕にはまだ女の頭のズシッとした感触が残っている。
不思議だ・・・。そう思いながら、さすっていた右腕を何気なく見ると、
そこには、くっきりと髪の毛の跡が残っていた。
腕枕
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