父親の親戚の話。
その親戚の人(仮にAさんとしておく)は、農作業中に誤って振り下ろした鍬を自分の足にヒットさせてしまい、足を大怪我してしまった。
医療技術も進歩していない昔でおまけに片田舎であったから、Aさんは片足切断の上、死線を2~3日さまよったそうだ。
それもどうにか小康状態をむかえ、安心した家族はひとまずAさんを自宅につれて帰った。
そしてその夜。
Aさんとふすまを隔てた隣で寝ていたAさんの家族は、隣室から聞こえるただならぬうめき声で目を覚ました。
慌てて起きてふすまを開けると、Aさんがものすごい形相でうなされている。
すぐにAさんを起こしてみると、怯えきった表情で天井を指差し「母ちゃんが迎えに来た! 母ちゃんが迎えに来た!」と繰り返すばかり。
しかしAさんの母親はこのときすでに亡くなっている。
Aさんの家族もぞっとして天井を見上げると、そのトタン張りの屋根の上を、
二本足の何かがものすごい勢いで駆けぬけていったそうだ。
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