長編

ほん怖

小さな捨て犬

俺は大学には実家から徒歩で通っているんだが、あるひどい雨の日、油断した好きに傘を盗まれた。 困っていたら同じ学部生の女の子が声をかけてくれた。 名前がとある花と同じだったから、仮に百合子としとく。 百合子は常時折り畳み傘を持っているので、それを貸してくれるという。
じわ怖

露店のネックレス

今の彼女と付き合い始めたばかりの頃の話。 とある駅前で彼女と待ち合わせをしていたのだが、その日は時間より早く着いてしまった。 近くに喫煙所があったのでそこで煙草を吸っていると、すぐ近くで黒人男性が露店の準備をし始めた。 並べているのは、カラフルなビーズで作られたネックレスやブレスレット。 どれも鮮やかな原色が多用されており、大ぶりなビーズが多く使われた派手なものばかりだ。 退屈なので横目で品物を見ていると、その黒人が視線に気付いて声をかけてきた。
じわ怖

アーちゃん

僕の町内には「アーちゃん」という人が住んでいた。 アーちゃんは年中、肌色の肌着と肌色のモモヒキを身に付け、パンクしてホイールの歪んだ自転車で町を走り回る、人畜無害の怪人だ。 年齢は僕が小学生のときで6、70歳くらい、試合後のボクサーみたいな顔をしている。 いつも酔っ払っているみたいな動きと口調。
熊本県の怖い話

漁師さんの迷信

海が近いせいか、漁師さんの迷信みたいな話を近所でよく聞かされた。 『入り盆、送り盆には漁をしてはいけない』とか、『海川に入ってはいけない』とか。
じわ怖

ママもやってたもん

結婚、家庭を巡って、 何年にも渡って恐ろしい目に遭った。 先日やっと心が落ち着き、 誰かに聞いてほしくてこの話を投稿する次第だ。 長文になることを許してほしい。 元妻と結婚したのが10年ほど前。 私の会社でバイトとして入ってきたのが出会いだった。 同棲を経て結婚に至ったのだが、 元妻は家族とは仲が悪かった。 お互いの家族には散々反対されたが、 私たちはそれを押し切って結婚した。 まもなく子供が生まれた。
愛知県の怖い話

鈴の音

5年くらい前、 名古屋のとある会社に勤めていたんだが、 仕事の関係で1週間くらい東京に滞在することになった。 22時くらいまで仕事して ホテルに帰って風呂入って寝て、 また翌朝出張先へってのを繰り返し。 選んだホテルは適当に、 出張先に近いのと、 設備もよさそうだからとそれだけ。
長崎県の怖い話

橋の架け替え工事

Nさんは、鋼材関係の専門の現場作業員だ。 会社勤めではないが、 いろいろと資格を持っているせいで、 大手企業の下請けや手伝いをやっている。 人集めを任されることもあるが、そんな時、 親しい仲間を誘うのは極力避けるようにしている。 ある時、Nさんにその訳を聞いた。 すると、少し間をおいて、
京都の怖い話

従弟と旅行

冬の終わりに、オヤジの弟の息子、 つまり従弟と旅行に行った。 母方は何かと言うと人寄せやら親族旅行をやるが、 父方のいとこで俺と親交が深いのはこいつくらい。 神社が好きらしくて、 一人でふらっと京都辺りに行っては写真を撮って来る。 そんな趣味でも、 変な現象にも遭わなければ心霊写真も撮った事がない。 辺は
京都の怖い話

亀岡の山道

以前、伯母が京丹波に住んでた時の話。 俺の母親の年の離れてた姉で、 子供がいなかったのもあって 半分孫みたいに可愛がってもらった伯母なんで、 孝行をせんといかんと思ってたんで そんなに面倒がらずに行ってた。 ま