岡山県の怖い話洒落怖全話

濃い霧

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ツーリングで岡山県のある山道を登っていた最中に、
濃い霧に遭いました。

1m先が見えないという酷い状態で、
慎重を期して時速15キロ程で徐行していたおり、
後ろからの車の音が私のバイクを追い越して行きました。

この濃霧の中をそこそこ速度を出して走っている所を見ると、
道を知った地元の車のようです。

車体は見えませんが、
赤いテールランプはぼんやり見えたので、
その光を追って行けば下山できるだろうと考え、
引き離されまいと私も速度を上げて
前方の音と光を追行しました。

しかし、
頂上付近のトンネルを抜けた時です。

前方の車はそのまま直進して行きましたが、
私の脳裏に、
あらかじめ見たこの辺りの地図がぱっと思い浮かびました。

ここはトンネルを出てすぐ
カーブになっていたはずです。

本能的に急ブレーキをかけた瞬間、
白いガードレールが視界に飛び込んで来ました。

その向こうは遙か下まで険しい崖です。

制動が間に合わず、
私はガードレールを蹴とばし、
反動でかろうじてカーブを曲がり切りました。

この際、左足指の骨を折りましたが、
「引き込まれそうになった」恐怖で頭がいっぱいで、
痛み所ではありませんでした。

地元のライダーの話では、
昭和35年頃にあのカーブで転落事故があり、
以来2~3年に1度の頻度で死亡事故があるそうです。

みなさんも霧中の運転にはご注意ください。

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