妖怪オススメ動画全話

牛鬼

妖怪
この記事は約4分で読めます。

【動画の本文を文字に起こしています】

『山陰地方から北九州にかけての沿岸では妖怪ぬれ女や、磯女と共に海中から現れるといわれるうしおに「この子を抱いてください」女の頼みをきいて、赤ん坊をうけとる。しかし、赤ん坊を抱くと、石のように重くなって、身動きがとれなくなってしまう。
そしてその隙に、牛鬼に食い殺されてしまうという。』

各地で言い伝えられている、牛鬼伝説

ギュウキやウシオニ、などと呼ばれることが多く、特に西日本で多く言い伝えられている。

頭が牛で、首から下は鬼の胴体を持つことがほとんどだが頭部が牛、人型の上半身、蜘蛛のような下半身を持つ姿で描かれることも多い。

牛の首に人の着物姿で頻繁に現れたり、昆虫の羽を持ち、空から飛来したとの言い伝えもある。

性格は非常に獰猛で、人間を襲いそのまま食べてしまう。

また、地域によっては、人間そのものより 人間の影を舐めて魂を食べるというような話もある。
そのため影をなめられると数日のうちに死んでしまう。

とも言われている。

『ある日、一人の百姓が滝の辺りに草刈りに行くと、そこにうし鬼が現れた。百姓は驚いて助けを呼びながら懸命に逃げたが、とうとううし鬼に追いつかれて影を食べられてしまった。やがて百姓は死んでしまった。
そこで村人は正月になると牛鬼に酒を供えるようになった。
すると、酒好きの牛鬼は大変 喜んで、酒を持って来る村人の影は食べなかったといわれている。』

このように、非常に獰猛といわれている牛鬼だが、酒を持って来る村人の影は食べないなど、受けた恩に対してそれなりの礼を重んじるような一面も持ち合わせている。

牛鬼は、海や川 沼など 水辺で多く出現するとされ、

特に淵に現れることが多く、牛鬼が出現したとされる場所は「うしおに淵」・「うしおに滝」など、うしおににまつわる名が今も多く残っている。

『そのむかし、牛鬼淵で山仕事をしている山人が、淵に飛び込む怪物を目撃した。頭は鬼のようで身体は牛のような牛鬼だった。
山人は恐れてすぐに麓まで逃げ帰り、村人たちにこのことを話した。
この話を聞いた鉄砲の名手は、牛鬼を鉄砲で仕留めてやろうと意気込み、山に入っていった。
そして、その淵で待ち伏せていると、やがて水に飛び込む音がした。
淵の方を見ると、そこには不気味な牛鬼の姿があった。すかさず鉄砲を撃ち込むが、どういうわけか全く効いてない。そのうち牛鬼はどこかへきえてしまった。
鉄砲の名手は、それから、山小屋に泊まり込み、牛鬼が再び姿を現すのを待った。

数日後、また牛鬼が現れたので、ここぞとばかりに鉄砲を撃ち込んだが、何発撃っても全く効き目が無い。そこで、肌身離さず持っていた、南無阿弥陀仏と刻んだ弾を銃に込め、牛鬼に撃ち込んだ。
すると、淵の辺り一面が真っ赤に染まり、牛鬼の姿も見えなくなってしまったという。』

このような言い伝えもある。

『昔、牛を連れた女が滝の上の絶壁を通った時、突然 牛が驚いて暴れだしたので、女は牛ともどもに滝淵に落ちて死んでしまった。
それ以後、夜な夜な髪を乱した女が牛鬼を連れて現れて、この山を行き交う人々を驚かしたという。
そこで里人は、高僧に祈祷してもらい、女と牛鬼は出なくなったが、この滝は牛鬼滝と呼ばれるようになったという。』

このように、恐ろしい妖怪という立場で語られることの多い牛鬼だが、違う側面で語られる言い伝えもある。

『昔、腹を空かせた牛鬼がいた。
そこで牛鬼は少女に化けて、近くを通りかかった少年に、「何か食物をください」と懇願した。
哀れに思った少年は、自分の持っていた弁当を与えてやった。
それからしばらくたったある日、大雨のせいで勢いが増していた川に、少年が足を滑らせ落ちてしまった。
そこへ、以前自分が弁当を与えた、少女が現れた。
少女は牛鬼の姿になり、河に飛び込んで少年を救いだした。
しかし、牛鬼は人間の命を助けてはいけない、助けると、身代りとしてこの世を去らなければならない。
という掟があった。
少年を助けた牛鬼は、真っ赤な血の泡を噴き出し、そのまま水の中に溶けていったそうだ。』

ある時は人に害をなし、ある時は人を助ける妖怪牛鬼。
今でも各地で牛鬼にまつわるお祭りがつづいており、当時の人々の中に与えてきたその影響の大きさを、今でもかんじることができる・・・

コメント