じわ怖全話

ぬいぐるみ

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小さいときに買ってもらったクマのぬいぐるみ。
背中にチャックが付いていて中に小物が入れられるようになっていました。
それをよく学校に持っていって遊んでいたのですが・・・。

ある日の給食でインゲンが料理の中に入っていました。
インゲンが嫌いだった私は当然残したのだけれど
担任の先生が「残さず食べなさい」とうるさい。
そこで私はぬいぐるみのチャックをすばやく開け、
クマの背中へインゲンを投入。作戦は大成功でした。
インゲンから開放された安堵感と給食の満腹感で少し気が緩んでしまったのでしょう。
放課後にはクマの中のインゲンのことはすっかり忘れていたのです。

しばらく経つとぬいぐるみには興味が無くなっていました。
6月のむし暑いある日、なぜか急に部屋の隅に転がっているクマに目が行きました。
背中をこっちに向けて、ふてくされるように転がっているクマ。
そのクマが今まさに動いているのです。
動いていると言うより蠢いている?という感じで。背中のあたりが。
その瞬間、あの日の給食の出来事が鮮明に頭に蘇ったのです。
それと同時にあぶら汗も顔に噴出し、鳥肌が体中を駆け巡りました。
そして「燃やそう」という作戦が瞬時に立てられたのです。

新聞紙をくしゃくしゃにしてその上にぬいぐるみを置く。
火を新聞紙に点火すると少し離れた所からそれを見守りました。
ぬいぐるみが徐々に燃えると同時に何かが中から溢れてきました。
黒いものと緑色のもの。最初は「綿かな?」と思っていたのだけれど
近くによって良く見ると、大小様々なゴキブリとカメムシの大群でした。
悲鳴を上げつつも、クレ556を持ってきて火炎放射で虫を焼殺す自分がいました。

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