ある女がおかしな行動を取るようになった。
裸で出歩いたり物を壊したり。声まで代わってしまった。
心配した家族は病院へと連れて行くが原因はわからない。
そこでお寺に相談してみる事になった。
住職は女をひとめ見るなり表情を曇らす。
「水子霊です。かなり強い念を感じます」
住職はすぐさま三人の霊能者を呼び寄せた。
伸ばし放題の髭や髪、うす汚れた身なり、飾りのついた錫杖。
三人それぞれが屈強な精神力を感じさせる。
父母との挨拶もそこそこに離れでお払いが始まった。
三人で女を囲むように座し、激しい経文を唱える。
すると女は聞いた事も無いような声で唸り初めた。
みなさんは見ない方が良い、父母は住職に促され本堂で待つ事
になった。
何時間くらいたっただろうか。
離れの方が不意に静かになった。
住職は急いで様子を見に行った。
父母は固唾を飲んで待ち続ける。
しばらくすると女が泣きながら駆け込んできた。
間違い無く以前に戻っていた。抱き合い泣き崩れる親子。
遅れて住職も戻って来た。
「除霊は成功しました。娘さんはもう大丈夫です」
しかし顔色は真っ青だ。
「どうかなさったんですか?」母が尋ねる。
「こんな物が娘さんから・・・」
住職の手には血に染まった小さな爪がひとつ。
「それと・・・」
ウォアーーー!
突然離れの方から奇声が聞こえてきた。
「霊能者はみな発狂してしまいました」
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