全話

洒落怖

階段の二段目

得意先が移転し、 お祝いをかねて訪れた。 そこは1階が店舗で2階が事務所。 とりあえず事務所で話を聞くからと、 店舗の奥の給湯室から伸びる階段で2階にあがる。
洒落怖

古いマンション

古いマンション これは私たち夫婦が10年以上住んでいる、 築40年のマンションでの話です。 仕事帰り、 いつものようにマンション駐車場に車を停めた夫が、 地下からの階段を1階に向けて上がって来ると、
じわ怖

警察官の無念

一昔前のことですが、目の前で見た、 ちょっと洒落にならない話です。 年末、某県のフェリー乗り場で、 船の時間待ちをしていた。 寒空の下、ベンチに座って海を眺めてたら、 駐車場で妙な動きをしている軽四に気が付いた。
愛知県の怖い話

喪服の客

秋ごろの話なんだけど、 そろそろ恐怖心も薄れてきて、 あぁあれはきっと夢だったんだなあ と思えるようになったので投稿します。 自分は、 就職を機に愛知に出てきたんだけど、 実家はかなりのど田舎で 町民のほとんどが農業で生活してるような 過疎の町で生まれ育ちました。
大阪の怖い話

腕章の少年

私が昔住んでいた大阪S市では奇妙な噂が流れていました。 以下がその内容ですが、何せ10年も前の話なので記憶が定かではありません。 「夕方から夜にかけて、ナチスの腕章をつけた少年が街を徘徊している。 」 「その少年と目が合うと、警棒を持って追いかけられる。 」
洒落怖

つきまとう女

俺の友達のTの話。 Tは中学の頃の友達で 上京してから偶然会って また親しく付き合うようになった。 そのTから彼女ができたと聞いた。 彼女がATMにバッグを置き忘れたのを Tが追いかけて渡したのがきっかけだという。
洒落怖

話しかけるだけのバイト

15年程前の話な オレはその頃名古屋の大学に通ってて、 一人暮らしをしてたわけだ。 親には無理言って一人暮らしさせてもらってる手前、 そんな仕送りも要求できないんで、 割のいいバイトを探すことにしたんだ。
意味怖

家族を消して

少女の所にお星さまが降り立ちました。 「なんでも一つ願いをかなえてあげよう。」 お星さまは言いました。 少女は泣いていました。 「家族を消してちょうだい!あんな家族、まっぴらよ。」 次の日、少女が目を覚まして、一階に下りると、いつものようにお母さんと お父さんとお兄さんがいました。 少女は後悔しました。 その夜再びお星さまは少女の前に現れました。 「気に入ってもらえたかな」 少女は言いました。 「昨日のお願いを取り消してちょうだい」 お星さまは言いました。 「一度かなえたお願いは取り消せないよ」 少女は泣きました。
じわ怖

壁の落書き

このあいだちょうど小学校の同窓会があったんで、 そのときに当然のごとく話題に上がった、 俺たちのあいだでは有名な事件をひとつ。 俺が通っていた小学校はちょっと変わっていて、 3階建ての校舎のうち、 最上階の3階が1、2年の教室、 2階が3、4年の教室で、 一番下の1階が5、6年の教室になってる。 別の学校に通ってた従兄弟にこの話したらびっくりしてたんで、 多分俺の学校が特殊なんだと思う。 校舎自体はコンクリート造りで、 相当というほどでもないが、 そこそこ年数がたってたらしく、 廊下の壁とかは薄汚れていて、 汚いなと子供ながらに思ってた記憶がある。 で、6年になるまで気がつかなかったんだが、 1階の6年2組の教室の前の廊下だけ、 壁が綺麗に塗りなおされてるのね。 下級生の時代に6年のフロアになんか怖くて行けないから、 知らなくて当たり前なんだけども。 もともとのコンクリートの壁と似たような色のペンキ? で、 隣りの6年1組との境目から6年3組の境界まできっちりと塗られてる。 そこだけ汚れてないからすぐわかる。 ある日、 その塗りなおされた壁の右下に近い部分(6年3組寄り)に、 薄ーく鉛筆で『←ココ』って書いてあるのに気がついた。 『←ココ』と指された部分を見ても、 まあ何の変化もない。 ただの壁だ。 その当時、学校では校舎の至るところに 『左へ○歩進め』 『真っ直ぐ○歩進め』 『上を見ろ』 『右を向け』 などと書いて、 その通りに進んでいく、という遊びが流行っていたので、 『←ココ』もその類のものだろうと、気にも留めなかった。 2週間くらいしてからかな、 友達のY君が教室の外で俺を呼んでいる。 行ってみると、 廊下の壁の『←ココ』の矢印の先に、 青いシミが浮き出てたのよ。 5cmくらいの小さなシミだったけど、 ちょうど矢印が指している先に出たもんだから、 俺とY君で 「すげー、不思議だね」 とか言ってた。 次の日、 そのシミはいきなり倍くらいの大きさになってて、 『←ココ』の文字の部分にまで広がってて、 もうその文字は見えなくなっていた。 その代わりに、 シミの形が人間の手のように見えた。 さすがに俺たち以外の生徒もそのシミに気がついて、 形が形ってこともあって、 瞬く間にクラス中に『呪いのシミ』として話題になった。 その話が先生の耳にも入ったらしく、 その日の帰りのHRでは 「何でもないただのシミだから、気にするな」 と、半ば強制的に家に帰されたわけ。 その週が空けて、次の月曜に教室に行くと、 なんと、廊下の壁のシミがあった部分が丸々はがれ落ちてて、 しかもそこを中心に、上下に細い亀裂と言うかヒビが入ってんの。 俺が教室に行くとすでに廊下で数人が騒いでたので、 見たらそんな状態。 朝のHRで先生が来るまでは、 俺のクラスと両隣のクラスの何人かも含めて大騒ぎで 「絶対この壁のうしろに何かあるよ」 「死体が埋められてる」 なんていう話にもなって、 クラスのお調子者K君が、 カッターでその亀裂をガリガリやろうとしたところに、 先生がきてものすごい勢いで怒られてた。 申し訳ないけど、 俺はそのとき知らない振りしてた その昼休みに、K君が懲りもせず 「朝の続きやろうぜ」 と言い出した。 壁を削る続きをやろうぜ、と言うわけだ。 俺は怒られるのが怖くて「やだ」といったんだけど、 K君が「ここ見ろ」と言うので見たら、 剥がれ落ちた中の壁から、 色の違う部分が見えてる。 灰色の壁に、 黒い太い線で横断歩道のような模様が描かれてるのが、 はがれ落ちた部分から確認できた。 「これの続き見たいだろ? 」 K君が言う。 K君はカッターを持って、 崩れた壁の部分をカリカリやり始めた。 面白いように塗装が剥がれていく。 すると、壁の中から『組』という文字が現れた。 さっき横断歩道のように見えた模様は、 「組」の右側だったわけだ。 もうこの後に何かあることは間違いない。 クラスの男子の半分近くが一緒になって、 壁の塗装を崩し始めた。 コンパスの針でつついたり、 定規の角で削る者、 彫刻刀を持ち出す奴までいた。 ちなみに俺は、 崩すのを回りから見てただけね。 大抵こういう場合、 壁のうしろに死体が埋まってた だの、 文字がびっしり書かれてた だの、 お札がいっぱい貼ってあっただのがよくあるパターンで、 俺も当時すでに、 怖い話としてそういった話をいくつか知っていた。 この壁の向こうにあるものも、 まさにそういうものなのか? そのドキドキと、 先生に見つかったらどうするんだと言うドキドキで、 心臓がきりきり締め上げられるような気がした。 昼休みが半分たたないうちに、 壁の塗装はあっという間に崩れた。 中から出てきたのは、 お化けでもなんでもない、 子供たちが描いた絵だ。 『平成2年 6年2組』 と書かれてる。 当時の卒業生が描いたものなんだろう。 30人くらいの男子、女子の似顔絵が、 集合写真のように並んで描かれている。 ただし、異様なのが、 その顔一つ一つ全てが赤いペンキで『×』と塗られていたこと。 特に上の段の右から3番目の子は、 ×どころか完全に赤く塗りつぶされ、 その下に書いてあったはずの名前も、 彫刻刀かなんかで削り取られていた。 俺たちは先生に怒られるだろうと覚悟を決めていたが、 5時間目に先生が来るといきなり 「よし、5時間目は体育館で自習だ。 ランドセルに教科書とか全部入れて、 5時間目が終わったらそのまま家に帰っていいぞ。 掃除もしなくていい。 教室に戻らずにそのまま帰れよ」 と、全く怒られなかった。 そして次の日に学校に行くと、 1階の教室が全て立ち入り禁止になってた。 俺たちは急遽建てられたプレハブで、 6年の残りの学校生活を送るハメになった。 この間、13年ぶりに小学校の同窓会があって、 当然のごとくその事件が話題に上がった。 当時の担任も来ていたので、 「先生、あの事覚えてますよね? あれはなんだったんですか? 」 ときいてみたが、 「いや、そんな事あったか? 覚えてないなあ」 とか、超すっとぼけてた。 だが、俺たちは全員あの事件を覚えている。