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からかさ小僧

新潟県の怖い話
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【動画の本文を文字に起こしています】

『ある夜のこと、一人のおとこが歩いていると、突然雨が降り出した。
男が困っていると一本の傘が道に落ちている

「こんなところにあるのなら、きっと捨てた物にちがいない」

そう思い、男が傘を拾い上げると傘はくるりとこちらにひっくり返った。
そしてそこには、大きな一つ目と大きな口で、こちらを見て笑う顔があった』

唐傘おばけ、傘おばけ、かさばけなど 地域によっておおくの呼び名のある、唐傘小僧

一般的に一つ目の付いた傘が、一本足で飛び跳ねる姿が多いが、目が二つ付いていたり、長い舌を伸ばしていることもある。

傘から2本の腕が伸びていることや、二本足の場合もあり、

その多くが古い唐傘の姿をしている。

からかさ小僧は一般的に、男の妖怪として認識されているが、唐傘おばけで言われる場合、おとこは右足で、女は左足だという説もあるようだ。

また、鳥取県では、からかさ小僧と同様に、一つ目で一本足の、「幽霊傘」という妖怪が出現すると言われている。

みためは似ているが、人を驚かすだけで悪さをしないと言われている唐笠小僧に対し、幽霊傘は、強い風の吹く日に人を空に舞い上げてしまうと言う。

唐傘小僧は室町時代の絵巻物にはすでに登場していたようだが、その当時は今の姿とは少し違い、たたんだ傘を頭部に頂いた、人型の妖怪で描かれている。

今のような一つ目、一本足の姿は、江戸時代以降の絵画に見られるようだ。

人間の生活で使用する道具には、古くなるとへんげする能力を持つこともあり、これを付喪神というが、この妖怪もその一種である。

有名な妖怪である反面、地域などに即した具体的な伝承はほとんど残されていないとも言われており

絵画上でのみ存在する妖怪と分類されることもあるが

新潟県の伝承では、カラカサバケモンという唐笠小僧に似た妖怪が出たと言われている。

具体的な伝承はほとんど残されていないにもかかわらず、それでも唐笠小僧は、どこか現代の人をひきつけるような魅力をもっている。

『昔、少年と母親が二人で暮らしていた
ある日、少年は母親に新しい傘を買って貰った。

今まで母親と一緒の傘に入っていた彼にとって、自分だけの傘は、少し大人になれたような気持ちにさせてくれた。

雨が降るたびに傘を取り出し、用もないのに散歩に出かけた。
晴れた日でも、時々傘を差しては散歩にでかけていった。

ずっと大事にしてた傘も、いつしかボロボロになってしまった。ボロボロになっても、少年にとっては大切な宝物だった。

雨がふるたび、かさを取り出し出かけた。

ある日、少年は母親に新しい傘を買ってもらった。

新しく綺麗な傘に、少年は大喜びした。
そして、ボロボロになった傘には、見向きもしなくなってしまった。

あれほど大切にしていたボロボロの傘は、納屋に置きっぱなし。
そして二度と、手にすることはなかった。

納屋にしまわれた傘は、いつしかなくなっていた。
しかし、誰もその事に気がつく人はいなかった。

ある時、傘のお化けがでると言う噂が立った。
そのおばけはなにか危害をくわえるでもなく、おどけながら人を脅かしては、満足そうに消えていったそうだ。』

誰からも忘れられ、付喪神となってこの世を彷徨うからかさ小僧。
人を脅かすだけで悪さもせず、とぼけて舌を出し笑うその姿は、
ただ、自分の事を忘れないでほしい。そう願っているようだった。

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